History

次女が1歳になる前に、娘たちを24時間保育の施設に預け、職場復帰しました。不規則な仕事がゆえの深夜に及ぶお迎えや宿泊は、実際は施設の方にご迷惑をおかけしていると感じた事や、いつまでも慣れずに泣く次女のことをもあり、半年後、思い切って二重保育先をベビーシッターに変えました。はじめは不安でしたが、心身ともに余裕のない毎日の中、私たちに、あるシッターさんとの出逢いがありました。その方は、私にも娘達にもいつも大きな愛情を注いでくださいました。「おばちゃん、おばちゃん」と慕う娘達の姿を見たときに「もっと早くから、こうすればよかったなぁ」と心から思ったのと同時に「安心して仕事ができる」というのはこういうことであると実感しました。
　身近に頼れる人もおらず、マタニティブルーに陥った時期をも思い出し、「あの時もシッターさんに頼っていたら、きっともっと笑顔で子育てできたよね・・」と後悔の気持ちもこぼれたりしました。そんな気持ちとこのシッターさんとの出逢いが私の大きな転機となり、プティタンジュを誕生させるきっかけとなりました。
　客室乗務員という仕事は、接客はもちろん安全にお客さまを目的地までお送りするというとてもやりがいのある仕事でしたが、自分は、多くの方々との“すれ違う数時間”よりも、たった一人の方との”関わりのある数時間”に携われるような仕事、自分がこのシッターさんに救われたように、誰かが自分の存在によってすこしでも救われたと思っていただけるようなそんな仕事がしたいという想いが強くなり、退職を決めました。　退職後は資格を取得し、フリーランスで一年シッターとしての実績を積み、そして「どんなに不規則な時間で働く職業の人にでも、深夜早朝の割増など関係なく平等な料金でサービスを提供したい」という客室乗務員時代に壁だと感じていた部分を無くしたいという想いを実現するため、当時では業界初であった「24時間365日低料金一律制」を掲げたプティタンジュを起ち上げました。
　起業して3年目の2011年、ピンチヒッターで入ったシッティング。突然大きく揺れだした建物に今にも倒れてきそうなガラスの棚。必死で5歳の男の子を抱きかかえテーブルの下に身をかがめました。３月11日、東日本大震災の日です。無事に保護者さまに男の子を引き渡した時には大きな安堵感に包まれました。そしてそれと同時にとてつもない恐怖感に襲われながらの翌日の帰宅となりました。帰宅し、まだ生後9日目であった四女を抱きながら、「人さまのお子さまの命をお預かりしお守りする」ということはこういうことなのだと、その責任を改めて痛感し、ベビーシッターという仕事を続けていくことについての覚悟を強く持つ日となりました。
　2007年に開業してから、これまで約3,000件のご家族さまとのご縁をいただいてまいりました。これからも出逢いを大切にし、信頼できるスタッフと共に、皆さまの安心と笑顔のため、そしてよりよい子育て環境構築のために、日々精進し成長を続けてまいりますので、今後もご愛顧いただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

株式会社アルシュオール
代表取締役 松本志津香